最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)191 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士毛受信雄、同早瀬豊吉の上告理由第一点について。
しかし、証拠の取捨、判断は、原事実審の裁量に属し、しかも、その取捨の理由
を判決の理由に示すことを要するものでないことは、多言を要しない。されば、原
判決が、所論鑑定人の鑑定書を採用しない理由を示さなかつたからといつて、違法
であるといえないし、また、これを採用しなかつたところに経験則に反する違法を
認めることもできない。所論は、結局原審の裁量に属する証拠の取捨、判断を非難
するに帰し、採るを得ない。
同第二点、第三点について。
しかし、原判決の全文を通読すれば、原判決の所論結論とは、要するに亡Dが乙
一号証の二を自筆したとの控訴人の主張事実を肯認することは躊躇せざるを得ず、
却つて、判示のごとくD以外の者がDの自筆遺言書を擬装したものではないかとの
疑惑を拭い去ることができない旨の判示を指すものと認められるから、原判決には
所論第二点のごとき違法は認められない。そして、原判決の所論結論が右のごとき
ものを指すものである以上これと異なる前提の下に原判決を非難する論旨第三点も
採るを得ない。
同第四点について。
所論は、いわゆる情況証拠に関するものであつて、従つて、原判決に影響を及ぼ
すべき法令違背の主張とは認められないばかりでなく、結局原審の裁量に属する証
拠の取捨、判断を非難するに帰し、上告適法の理由として採ることができない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
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おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 高 木 常 七
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