最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)220 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人弁護士袴田重司の上告理由第一点について。
按ずるに、上告人(原告)が主たる請求原因として主張している事実の要旨は、
本件家屋について、訴外Dと被上告人との間に、昭和一〇年一〇月以降存続してい
た賃貸借契約は、右訴外人が自己の店舗改造の為め一時本件家屋に移転の必要を生
じたことを正当の事由として、昭和三〇年六月二四日付内容証明郵便による解約申
入によつて、同年一二月二五日限り解除となつたこと、上告人は右解除による右賃
貸借契約の消滅後である翌三一年二月二八日本件家屋を買入れその所有権を取得し
たこと(訴状に右訴外人の地位を承継したとあるは右賃貸借関係の存続していない
訴外人の所有権者たる地位を承継したとの趣意と解するを相当とする)、そして上
告人は被上告人に対し右所有権に基き本件家屋の明渡を求めるという趣旨であるこ
と、一方被上告人は上告人の右買入による右所有権取得の事実を争つていないこと
は記録に徴し明らかである。
してみれば、原審としては、被上告人に対し如何なる権原に基いて本件家屋を現
に占有するかを釈明主張させた上で上告人の右明渡請求の当否を判断すべきであつ
たにも拘らず、また、もし被上告人において前示賃貸借契約が依然存続するものと
主張し、この賃貸借が前示解約申入によつて有効に解除になつたか否が争点となる
場合には右解約申入が前示Dその人について正当な事由に基くものであつたか否か
を、審理判断すべきであつたに拘らず、それらの点については何ら言及することな
く、ただ漫然と所論の如く判示したのは上告人の主張の趣旨を誤解し、延いて審理
不尽に陥つたものというの外なく、原判決はこの点において理由不備の誹を免れな
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いものと云わざるを得ない。すなわち論旨は結局理由あるに帰し、原判決は到底破
棄を免れないものと認める。
よつて爾余の論点に対する判断を省略し、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一
致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 高 木 常 七
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