最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)259 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人脇田久勝、同中村栄治の上告理由第一点について。
記録によれば、原審においては、昭和三二年二月一九日に弁論を終結し、言渡期
日を同年三月一二日と指定したが、同年三月一一日に控訴代理人より裁判官忌避の
申立があり、同年同月一二日に訴訟手続停止の宣言がなされ、同年同月二二日福岡
高等裁判所において右忌避申立却下の決定があり、右決定に対し抗告がなされたが、
その抗告に対しては、同年一一月一三日同高等裁判所において却下の決定がなされ、
右決定は同年同月一五日に控訴代理人に送達され、同年一二月一七日に原判決が言
渡されていることが明らかであり、その間弁論に関与した裁判官の中桑原国朝は昭
和三二年六月二〇日に、二階信一は同年一一月一五日にそれぞれに他に転補された
のである。所論は、原判決は弁論に関与した桑原、二階、秦の三裁判官が適法に評
議したものとは認められないと主張するが、前記訴訟手続の経過に徴し、他に特別
の事情の認められない本件においては、原判決は前記忌避申立前に、弁論に関与し
た前記三裁判官が評議を終り、判決原本に署名を終つていたものと認めるのが相当
であり、所論のように、これを不可能であつたということはできない。それ故原判
決には所論の違法は認められない。
同第二点ないし第五点について。
原審の事実認定は、挙示の証拠に照らし、首肯することができる。所論はひつき
よう原審の裁量に属する証拠の取捨、判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを
得ない。(なお、論旨第五点(一)および(三)は、原判決が理由(一)において
第一審判決の一部を、「Dと共同」の五字を削るとして訂正している点を看過した
- 1 -
主張であり、また論旨第四点(四)の甲一五号証は、原審はこれを認定資料として
いないから、右書証をもつて原審の認定を違法ということはできない。)
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 高 木 常 七
- 2 -