大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)424 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士渡部親一、同馬越旺輔、同須田恭平の上告理由第一及び第二の

第三点ないし第五点について。

しかし、原判示によれば、判示残代金三万円について新に履行期と定められた昭

和二元年三月一日には判示のような事情で現金の授受が行われなかつたが、其の後

に至り被上告人は上告人に対し右代金を支払うにつき本件土地の所有権移転登記手

続をなすべき旨しばしば申入れたところ、上告人は地価の昂騰を理由に代金の増額

を要求して右金員の受領を拒み、そして同一一月頃には本件土地についての売買契

約の効力を否定するに至つたというのであり(右三月一日から同年一一月までの短

日月の間に地価が昂騰したからといつて当初の契約がもはや維持されず、被上告人

において約定代金以上のものを上告人に支払わなければ債務の本旨に従つた履行を

なしたものと云い得ないものとは解し難い)、このような事情の下では、上告人は

おそくとも右昭和二一年一一月以降において右残代金について受領遅滞に陥つたも

のと解すべきであり、従つてその受領遅滞後に所論のように事情が変更したからと

いつて、所論判示の供託及び本件契約の持続関係について所論のように論議し得べ

き限りではない。所論は専ら自己の立場にのみ立脚して云為する独自の見方という

を憚らない。それ故所論はいずれも採るを得ない。

同第二の第一点、第二点について。

しかし、原判決は所論合意解約が認められないのみならず、所論解除の意思表示

その他の事実も認めるに足る資料がないという趣旨をうたつていることは判文上明

らかであるから、原判決には所論違法のかどがあるものというを得ず(この判示は

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論旨第二の第四点の一部にも妥当する)、また、所論原判示の場合、被上告人が所

論法条によつて登記請求権を喪失したものとは到底解することができない、それ故、

所論も採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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