大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)588 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人大堀勇の上告理由一について。

原審は、被上告人が上告人から昭和二八年六月一日金一〇〇、〇〇〇円を利息年

一割と定め借り受けた債務を負担し、更に昭和二九年一一月一〇日金二〇〇、〇〇

〇円を利息年一割と定め貸付を受け、その際被上告人は、他の債権者から差押えを

受ける虞のあつた本件不動産を右貸金債務の担保として上告人に移転し、上告人は

被上告人が昭和三一年六月三〇日までに右の債務を弁済したときは、本件不動産の

所有権を返還することを約した事実を認定し、結局被上告人は昭和三一年六月三〇

日までに前示貸金債務を弁済しないときは、上告人に対し本件不動産の返還を請求

することができないとの期限を付したものと解する旨を認定した。右原審の事実認

定は挙示の証拠に依りこれを是認することができる。所論はひつきよう原審の裁量

に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。

同二、三について。

被上告人の代理人は原審において、昭和三〇年六月三〇日に金三〇〇、〇〇〇円

を上告人方に持参したが受領を拒絶されたのでこれを弁済のため供託した旨を述べ

ている。そして若し被上告人が適法に右金員を弁済のため供託したものであれば、

右供託によつて本件不動産の所有権は完全に被上告人に移転したものというべく、

上告人は直ちに被上告人に対し本件不動産につき所有権移転登記手続をする義務が

ある筋合である。しかし本件においては、被上告人は原審において附帯控訴をして

いないのであるから、被上告人が右金員の支払をしたときは右登記手続をすべきこ

とを命じた第一審判決を、前記のように被上告人の利益に変更することは原審とし

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てはできないことは、原判示のとおりである。それ故、原審が前記被上告人のした

供託の効力につき判示したところは、すべて判決に影響のない念のための説示とい

うべく、従つて、原判決の右供託に関する説示を非難する所論は、判決に影響を及

ぼすことの明らかな法令違背を主張するものとは認められない。されば所論は採る

を得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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