最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)950 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人加藤定蔵の上告理由第四点について。
原審は、所論甲一号証の記載及びDの証言並びに被上告人本人の供述を綜合して、
被上告人の主張事実、すなわち、被上告人は上告人が本件動力噴霧機を判示訴外会
社から買受けるに際し、その代金支払債務につき保証をしたこと及び上告人はその
代金の内金三六、四〇〇円を支払つたのみで、残代金七九、四〇〇円の支払いをし
なかつたため、被上告人は右訴外会社の請求により、「昭和二五年一〇月三一日金
二四、四〇〇円、同二六年一二月三一日金三〇、○○○円、同二七年三月一五日金
一五、○○○円を支払い」、上告人をしてそれに相当する債務を免れしめるに至つ
た旨認定しているが、成立に争いのない乙五号証の一、二(判示訴外会社から被上
告人に対する約束手形金七九、四〇〇円の残金六四、四〇〇円についての昭和二八
年五月一二日付支払命令申立書及び同年六月五日付仮執行宣言付支払命令)及び乙
四号証(右支払命令に基づき昭和二八年六月一八日行われた有体動産差押に当り、
被上告人は支払いをなす資力なき旨陳述した旨の記載のある差押調書謄本。論旨に
乙二号証とあるのは誤記と認められる)によれば、被上告人が上告人のために判示
の如き保証をした事実があるか否かはとにかくとして、判示残代金のうち被上告人
が支払つたという金額は、昭和二七年三月一六日の金一五、○○○円(判示第三回
分に該当する)だけの如くであつて、これに先立つ他の二回分は、果して真に判示
の如くに支払いをしたのかどうかについて疑いなきを得ない。
しかるに原判決は、右乙号各証に対して一言も触れるところなく、これと互いに
相容れない前記甲一号証の記載、Dの証言及び被上告人の供述のみによつて判示事
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実を認定し、それに基づいて判示の如き判断をしたのは審理不尽、理由不備の違法
をおかしたものといわざるを得ない。そしてこの違法は判決の結果に影響を及ぼす
こと明らかであるから、本論旨は、他の論旨について判断をするまでもなく理由が
あり、原判決はこの点において破棄を免れない。
よつて、爾余の論旨の判断を省略し、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で
主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 高 木 常 七
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
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