大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和34(あ)1599 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人三森淳の上告趣意第一並びに第二の五について。

しかし、原判決の判示は、要するに自白の外必要とされる補強証拠は、当該事件

の客観的事実関係についてこれを認むべき証拠があれば十分で、被告人の過失の有

無という主観的要件についてはその必要がないというに帰するから、同趣旨の当裁

判所大法廷判決(判例集四巻一一号二四〇二頁以下)に徴し、原判決には、所論の

憲法三八条三項の違反並びに同第二の五の判例違反は認められない。また、憲法三

七条一項違反をいう点は、同条項の公平な裁判所の裁判とは、所論のごときものを

いうものでないこと、当裁判所大法廷屡次の判例とするところであるから採るを得

ない。その他憲法三一条、一三条違反をいう点は、その実質は、単なる法令違反、

事実誤認の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二の一ないし四について。

しかし、原判決は、本件事故の発生には、判示のごとく被害者にも重大過失とも

称すべきものがあるが、被告人にも、停車中の小型貨物自動車の通過完了を待ち本

来の通行区分に従い車道の左側を進行せず小型車の右後方を迂回して都電軌道敷地

上を前進した点、又は、その際一たん停車し湯島方面から進行して来る車の状勢を

注視し必要があれば警音器を吹鳴して自車の存在を警告する等左方の交通の安全を

確認した上で前進を続けるべき注意義務を怠つた点等の過失があつて、これによつ

て事故が発生した旨判示しているのである。されば、所論引用の判例は本件に適切

でなく、却つて原判決の判示は、その引用の当裁判所の判例(判例集一三巻一号六

六頁以下)に適合するから、所論判例違反の主張は採ることができない。

同第三、第四について。

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所論は、単なる法令違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五

条の上告理由に当らない。また、記録を調べても、本件につき同四一一条一号、三

号を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四〇八条に従い、裁判官の全員一致で、主文のとおり判決する。

昭和三五年三月二四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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