大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)11 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中村源次郎の上告理由(一)について。

原判決が「上告人の妹亡Dは昭和一四年八月二六日本件罹災家屋を被上告人の父

Eから賃借し、上告人はDと共同して右家屋においてD名義をもつて旅館業を営ん

でいた」旨の事実認定をしていることは所論のとおりであるが、そのような場合、

当然に右両名が共同して右家屋を賃借していたものと認めなければならない実験則

は存しないから、原判決には所論の失当は認められない。

同(二)について。

戦時罹災土地物件令四条一項によれば、建物滅失の当時その建物に居住していた

者は、三条一項の停止期間中本建築物の所有以外の目的のため当該建物の敷地を使

用することができたのであるから、当時居住していた上告人も本件土地を使用する

権利を有したものというべきではあるが、それには建物滅失の時より二月を経過し

ない間に現実に使用を始めた事実がなければならないこと、四条二項、四項に照し

て明らかである。

しかるに本件において、Dも上告人も罹災後本件土地を現実に使用していなかつ

たことは、その主張に照らし明らかであるから、罹災都市借地借家臨時処理法によ

る賃借の申出権も有しなかつたものといわなければならない。そして原審の認定に

よれば、上告人は罹災家屋の賃借人ではなかつたのであるから、右処理法二条の賃

借申出権のないことはいうまでもない。されば原審が、上告人の賃借申出はその効

力がないと判示したのは結局正当というべきである。

論旨は、Dが処理法施行前に賃借の申出をしたことは被上告人の自ら認めるとこ

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ろであるというが、上告人は被上告人の右主張を原審で援用していない(上告人の

主張は、罹災都市借地借家臨時処理法の施行後である昭和二一年一〇月から翌年二

月の間に借地申入をしたというにある)。されば所論は原審で主張しなかつた事実

に基づくものであり、採るを得ない。

同(三)について。

所論は原審で主張のなかつたところであるばかりでなく、所論自体正権原の主張

とはなしがたい。

同(四)について。

所論は原審の事実認定の非難ないし原審の認定に副わない主張であるから採るを

得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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