最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)1124 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人鍵尾豪雄、同渡辺里樹の上告理由第一点について。
裁判所が証拠を排斥するにつきその理由を一々説示する必要のないことは、当裁
判所の屡々判示するところであり、原判決が採用しなかつた所論証人甍伝の証言に
つき、所論のように判示しても、違法とは認められず、引用の判例は、本件に適切
でない。それ故所論は採るを得ない。
同第二点について。
所論前段は原判示に副わない事実関係を前提として原判決を非難するものであつ
て、採るを得ない。また、後段追認云々の点は、原審で主張、判断のない事項であ
つて、上告理由としては不適法である。その余の所論は、原審の裁量に属する証拠
の取捨、判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。
同第三点について。
所論弁済の主張は予備的主張である。そして原判決は、本件消費貸借契約不成立
の第一次の主張を認容した以上、右予備的主張につき判断を与えなかつたことは何
ら違法ではない。また、公正証書が偽造の委任状により作成されたもので無効であ
るとの理由に基づき、請求異議の訴を提起しうることは、当裁判所の判例とすると
ころであつて(昭和三〇年(オ)第二三〇号、同三二年六月六日第一小法廷判決、
民集一一巻七号一一七七頁参照。なお、大正一〇年三月三〇日大審院民事連合部判
決参照)、原判決には所論の違法はない。また上告人は、本件公正証書表示の債権
の存否につき判決を求める申立をしてはいるが、右は予備的申立としてしたものに
止まり、併存的主張としてしているのではないから、前示のとおり、主たる請求が
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認容されている以上、所論申立の点についてまで言及するを要しないことは勿論で
ある。それ故、原判決には所論の違法は認められず、採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 高 木 常 七
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