大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)1129 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を広島高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人弁護士山枡博の上告理由第一ないし第三について。

原判決は用語不十分で、その趣旨いささか明確を欠くが、要するに訴外Dは上告

会社の代理人として被上告会社から本件プラターを買入れたが、右買入についてD

に上告会社を代理する権限がなかつたとしても、被上告会社には同人において右代

理権限を有するものと信ずるについて正当の事由があつたから、民法一一〇条の適

用によつて上告会社は被上告会社に対し右プラターの代金支払義務を免れない筋合

であるというに帰する。しかし、民法一一〇条によつて代理人の代理行為により本

人がその責任を負うのはその代理人において何らかの代理権限を有することを前提

とするものなるところ、原判決はその点について何ら明示するところなく、ただま

ん然と被上告会社は右Dに上告会社を代理する権限があつたものと信ずべき正当の

事由があつたというに過ぎない。かくては民法一一〇条によつて上告会社に右代金

の支払義務を負わしむるに由がないから、原判決はこの点において審理不尽理由不

備の欠陥を蔵するものと言うの外なく、論旨は結局理由あるに帰し、原判決は到底

破棄を免れないものと認める。

よつて、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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