大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)432 判決

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主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人大橋光雄、同粟田吉雄の上告理由第一点について。

所論は、原判決が公示催告除権判決に関する法令の解釈運用に違法あることを前提

として、憲法二九条違反を主張する。しかし、原判決には所論のような違法の点の認

められないことは、論旨第二点ないし第四点に対する当裁判所の判断の示すとおりで

ある。それ故、所論違憲の主張は前提を欠くものであつて、採ることを得ない。

同第二点、第三点について。

所論は、本件公示催告の申立中に記載された「持ち逃げ」は盗取の意味と解するを

相当とするとした原判示は、釈明権不行使、経験則違反の違法があると主張する。し

かし、原審は、原判示甲二号証の一(公示催告申立書)には、被上告人(被控訴人)

において保管中の株券をDが持ち逃げ高飛したと記載してあるに止まり、同人がこれ

を横領したとの記載はなく、俗に「持ち逃げ」というときは常に詐取もしくは拐帯横

領を意味するとは限らず、用語適切を欠くとしても窃取逃走の意味に使用することも

ありうべく、当該の場合その何れの趣旨と見るかはひつきよう意思解釈の問題であり、

熱海簡易裁判所が被上告人(被控訴人)提出の公示催告申立書記載の事実より、本件

株券が盗取されたことを理由とする申立であると解して取扱つたのは必ずしも不当で

ないのみならず、成立に争のない甲八号証(東京簡易裁判所の照会に対し被上告人―

被控訴人―が提出した回答の書面)に徴するに、被上告人(被控訴人)は窃取の意味

で右「持ち逃げ」なる語を用いたことが明らかであると判示しており、右原審の認定

は、挙示の証拠関係に照らし是認できる。所論はひつきよう原審の裁量に属する証拠

の取捨、判断、事実の認定を非難するに帰し採るを得ず、原判決には所論の違法の点

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は認められない。

同第四点について。

本件株券についての公示催告手続の管轄は、専属管轄でないのみならず(民訴七七

九条一項、二項)、原判決は、本件株券の公示催告手続は、熱海簡易裁判所の管轄に

属せず、同裁判所のした公告は管轄の規定に反するものではあるが、除権判決の前提

たる公示催告手続が、管轄権のない裁判所によつてなされたからといつて、その公告

を無効としてこれを民訴七七四条二項二号にいう「公示催告ニ付テノ公告ヲ為サ」な

かつた場合と同一に論ずべきでないと判示しており、右原審の判断は正当である。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとお

り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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