大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(あ)465 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人前田知克の上告趣意第一点について。

原判決の是認した第一審判決は、被告人は燃えている物に蒲団、砂をかける等臨

機の措置をとつて火勢が拡大し被害が他に及ばないよう沈着適切な行動をとるとと

もに、当時二階に寝ていたBに対し可及的速やかに火災の急を告げて同女を屋外に

避難させ、或いは他人に救助を頼む等あらゆる方法をこうじ、もつてBの救助に最

善の努力を傾ける注意義務があつた旨を判示している。そして被告人の右注意義務

は、原判決の是認した第一審判決の確定した事実関係の下においては、一般通常人

の注意を払うことにより、よく罪となるべき事実を認識しうべき程度の注意義務と

解するを相当とし、また、その注意義務を果たすことが期待不可能であつたとは認

められない。しからば、被告人が右の注意を怠り、よつてBを死に致した被告人の

本件行為を過失犯をもつて問擬したことは正当であり、原判決は、引用の判例と趣

旨を同じくするものであつて、何らこれに反する判断を示したものではない。それ

故所論判例違反の主張は採るを得ない。

同第二点について。

所論は事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

記録を調べても、所論の点につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められな

い。

よつて、同四〇八条、一八一条一項本文により、裁判官全員一致の意見で、主文

のとおり判決する。

昭和三七年三月一日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 高 木 常 七

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