大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)1177 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士福田力之助の上告理由第一点第二点について。

所論甲第二号証に「昭和二九年一二月末日金一〇万円也、昭和三〇年二月末日金

二〇万円也返済致し」云々と記載しあることは所論のとおりである。しかし、同号

証を見るにその前文に「借用証書一金二八万円也右の金員正に借用仕り候事実正也」

と記載しありて、原判決はこの記載とその挙示の証拠資料とを綜合して判示事実を

認定したものと認められ、右証拠に徴すればそのような認定もできないわけのもの

ではない。そして、右のように裁判所が書証の一部を採用して事案認定の資料とな

し、他の一部を排斥するに当つては、その理由を一々明示するの必要なく、判文上

そのことが了知し得られれば足るものと解するを相当とするから、原判決には所論

のような瑕瑾あるものと言うを得ない。この論点も、又爾余の論点もひつきようす

るに原審が適法に有する裁量の範囲内でなした事実認定を非難するに帰するもので

あつて、いずれも採るを得ない。

よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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