大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)436 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人酒井信雄の上告理由第一点について。

記録に徴すれば、被上告人の原審における請求の拡張は、その実質は附帯控訴と

認めうること原判示のとおりであり、また上告人側において、右請求の拡張に対し

異議を述べた形跡は記録上全く存在しない。そしてその方式においても民訴三七四

条、三六七条に反する点も認められない本件においては、右被上告人の本訴請求を

原審認定の限度において認容した原判決は正当であり、所論の違法は認められない

(なお、昭和三元年(オ)第九一〇号、同三二年一二月一三日第二小法廷判決、民

集一一巻一三号二一四三頁参照)。それ故、所論は採るを得ない。

同第二点について。

原審の確定した事実関係の下においては、上告人らの被相続人D(控訴人)が、

賃料として供託した金員を被控訴人において受領したのは、供託の効力を認めたも

の、すなわち右Dとの賃貸借を追認したものではなく、むしろ賃料相当の損害金と

してこれを受領したものと認めるのが相当であるとの原判決の判断は、是認できる。

所論は、原審の適法にした証拠の採否、事実の認定を非難し、これを前提として、

原判決の違法をいうものであつて、採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官下飯坂潤夫の上告理由第一点に対する補足意見あるほか、裁

判官全員一致の意見によるものである。

裁判官下飯坂潤夫の論旨第一点に関する補足意見は、次のとおりである。

民訴法三七八条により控訴審の訴訟手続に準用されている同法二三二条一項によ

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れば、第一審原告は控訴審においても著しく訴訟手続を遅滞させない限り請求の基

礎を変更しない限度において口頭弁論の終結に至る迄請求を変更(請求の拡張を含

む)することは可能である。そしてこの場合附帯控訴の方式を遵守することを要す

るものと解すべき何らの根拠もない。従つて、私見は、昭和三元年(オ)第九一〇

号事件において同三二年一二月一三日当裁判所第二小法廷の示した判決の趣旨と抵

触する。そして、記録に徴するに、所論請求の拡張の申立は前示民訴法二三二条二

項により書面によつてなされ、且同条三項によつて相手方に送達されていることが

明らかであるから、原判決には所論の違法ありと云うを得ない。原判決が事実の部

において、被控訴人は請求を拡張して(実質は附帯控訴である)云々と記述してい

るが、右括弧内の記載は蛇足と認めるを相当とする。所論は、縷々論述するが、ひ

つきようするに上叙と異る独自の見解に立脚して、原判決を攻撃するものであつて、

採るを得ない。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 長 部 謹 吾

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