大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)65 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人元木守の上告理由第一点第一について。

本件未墾地買収手続において、買収計画に対する異議申立の却下決定通知が適法

に上告人に交付されなかつたとの一事をもつて、その後になされた本件買收処分自

体に重大かつ明白な瑕疵あるものとしてこれを当然無効ならしめるものではなく、

右の違法は、右買收処分については、取消原因となるにすぎないものと解するのが

相当であり、この点に関する原審の判断は正当である(なお、昭和三二年(オ)第

二五二号、同三四年九月二二日第三小法廷判決、民集一三巻一一号一四二六頁参照)。

所論引用の最高裁判所の判例は、買收計画に対する訴訟に関するものであつて、本

件のように、買收処分自体の無効を理由として所有権移転登記抹消登記手続を求め

る訴訟とは事案を異にし、本件に適切でない。そして、買收計画に対する異議中立

の却下決定通知が適法になされなかつたことは、その後になされた買收処分を当然

無効ならしめるものではなくその取消の原因となるにすぎないものであること、前

記のとおりであるから、これに対する出訴は、右買收処分に対する争訟につき定め

られた出訴期間経過後はこれをなし得ないことは当然であつて、この点についての

原判示は正当である。

同第一点第二について。

原審の確定した事実関係の下においては、上告人の母Dが一たん農地委員会に出

頭しながら、本件買收令書を受け取ることを拒んだとの事実は、自作農創設特別措

置法九条一項但書にいう「その他令書の交付をすることができないとき」に当るも

のであつて、同法三四条、九条一項但書により令書の交付に代えて公告をすること

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ができるものと解するのが相当である。そして本件においては、右の趣旨の下に、

適法に令書の交付に代えて公告がなされているのであるから、原判決が本件の買收

令書の交付手続に瑕疵がないと判示したことは正当であつて、所論は採ることを得

ない。

同第二点について。

所論の点に関する原審の事実認定は、挙示の証拠により是認できる。所論はひつ

きよう原審の裁量に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するに帰し、原判決には

所論のような違法の点は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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