大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)760 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人植垣幸雄、同叶和夫の上告理由第一について。

原審並びにその引用する第一審判決挙示の証拠を綜合すれば、本件建物が依然、

被上告人の所有に属し、上告人がこれを被上告人より贈与を受けたものでない旨の

第一審判決の事実認定を支持した原判決の判断は是認できる。原判決には、所論の

ような証拠による事実認定の論理法則、経験法則に反する違法又は理由そごはなく、

所論は、ひつきよう原審の専権である証拠の取捨判断、事実認定を非難するにすぎ

ないから、採用できない。

同第二について。

所論は、上告人の心裡留保の主張について原判決の理由不備をいうが、原判決が

挙示の証拠により、被上告人所有の本件建物の登記名義を上告人の所有名義にする

については、上告人は被上告人に売渡証書と委任状を交付し、被上告人を権利者と

する所有権移転請求権保全の仮登記をなし、家賃の徴収を受けぬ代りに右家屋の公

租公課及び家屋敷地の地代を負担し、上告人が訴外D株式会社の社員の身分を有す

る間に限り、本件家屋に入居する約束で本件家屋の使用貸借契約を結ぶ措置を採る

ことにしたことは、上告人自身十分承認している旨を認定し、上告人の心裡保留に

基づく贈与の有効であるとの主張を容認しなかつた認定判断は、首肯できないこと

はない。所論者は、ひつきよう原審の専権たる証拠の取捨判断、事実認定を攻撃す

るにすぎないから、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 朔 郎

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