大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)869 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人猪股正清の上告理由第一点について。

原判決の是認引用する第一審判決が、「被告が前記各物件の附属品につき原告主

張の前記売買の事実を昭和三一年七月二日午後一時の本件第一回口頭弁論期日にお

いて認めていることは記録上明らかなところであり、被告はこれにより右各電動機

が原告の所有に属することを自白したものと認め得る」と判示していることは所論

のとおりであるが、同第一審判決は、右判示に先立つて「さらに被告は前記第二目

録に附属品と記載されている電動機についても右はすべて被告の所有であると主張

するが、右にいう附属品は電動機に外ならないことは当事者間に争がなく」と判示

しており、右第二目録に附属品と記載されている電動機は、第一審判決別紙第三目

録と対比すれば、地球型蒸解釜に附属する電動機を包含しないものであることが明

らかである。それ故、第一審判決中所論引用の判示において、上告人(被告)が被

上告人(原告)の所有に属することを自白したものと認めたのは、右地球型蒸解釜

に附属する電動機を除いたその余の四台の電動機についてであることは、判文上明

らかであり、原判決およびその是認引用した第一審判決は、所論のように地球型蒸

解釜附属の電動機一台が被上告人(原告)の所有に属することを上告人(被告)に

おいて自白したものである旨は何ら判示していないといわれなければならない。

所論は、右原判示を正解せず、原判決の判示していないところを、判示している

として原判決を非難するものであつて、前提を欠く主張たるに帰し、採ることを得

ない。

同第二点について。

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所論各電動機(上告理由第一点に対する説示中に述べたとおり、第一審判決別紙

第二目録にいう附属品たる電動機四台であつて、地球型蒸解釜附属の電動機を含ま

ない。)の所有権の帰属については、第一審第一回口頭弁論期日において、上告人

が被上告人の所有に属する旨を自白し、その後同第一五回最終口頭弁論期日に、上

告人は右自白を撤回して上告人の所有に属する旨主張したが、原判決が是認引用す

る第一審判決において、右は時機に後れて提出された主張として排斥されているこ

とは右判文に徴し明白であり、記録上右第一審の判断は正当と認められる。それ故

原審が右自白の点につき、さらに所論のように審理判断すべき必要はなく、原判決

には所論の違法は認められない。論旨引用の判例は、事案を異にし本件に適切でな

い。

同第三点について。

善意の占有者であつても、本権の訴において敗訴すればその起訴の時から悪意の

占有者と看做される(民法一八九条二項)。それ故、原判決およびその是認引用す

る第一審判決の確定した事実関係の下においては、第一審判決が、おそくとも本件

訴状送達後においては上告人(被告)を善意の占有者とは認められないものと解す

べきであると判示したことは正当である。所論は、原審の認定に副わない事実関係

を前提として、原判決の違法をいうものであつて、採るを得ない。

同第四点について。

所論の点に関する原審の事実認定は、挙示の証拠により是認できる。所論は、ひ

つきよう原審の裁量に属する証拠の取捨、判断および事実の認定を非難するに帰し、

採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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