最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)93 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人鈴木権太郎の上告理由第一について。
本件につき原裁判所のした裁判が所論のように公正妥当を欠くものであるとして
も、そのような場合が、憲法にいう公平な裁判所の裁判に当らないと解すべきもの
でないことは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第四八号、同二三年五月二六日
大法廷判決、刑集二巻五号五一一頁)とするところであり、右のような裁判を目し
て憲法三二条に違反するものということのできないことは、当裁判所の判例(昭和
二三年(れ)第五一二号、同二四年三月二三日大法廷判決、刑集三巻三号三五二頁)
の趣旨とするところである。所論憲法三二条違反の主張は採るを得ない。また、憲
法一九条違反の主張は、実質は単なる訴訟法違反の主張に帰する。しかし、記録を
調べても、原裁判所の裁判長の採つた措置は、正当な訴訟指揮の範囲を著しく逸脱
したと認むべき証跡なく、所論は原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違反の
主張に当らない。それ故、所論は採るを得ない。
同第二について。
所論の点に関する原判示は、用語いささか十分でない嫌いはあるが、要するに、
上告人抗弁の所論土地に対する使用貸借は判示の経緯の下に解約となつているので
あり、従つて、被上告人の所論土地に対する所有権は何ら負担のない所有権に帰し
ている筋合であるから、右所有権に基づく本訴明渡の請求は正当であるという意味
を判示しているのである。してみれば、原判決は被上告人が第一審以来主張してい
る請求原因外において被上告人に利益の判決をしているものとは言い難いから、原
判決には所論の違法ありというを得ない。所論は、叙上に反する独自の所見を出で
- 1 -
ないものであつて、採るを得ない。
同第三、第四、第五について。
所論の点に関する原審の事実認定は、挙示の証拠により是認できる。論旨は、い
ずれも、原審が適法にした証拠の取捨、判断および事実の認定を非難するに帰し、
採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 朔 郎
裁判官 長 部 謹 吾
- 2 -