大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和37(あ)1521 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人吉弘基彦の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出ないもので

あつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

なお、原判決の支持した第一審判決の認定にかかる事実関係、すなわち、被告人

が、実子Aが昭和三五年一二月頃身体が極度に衰弱し、両足先が凍傷にかかり、昭

和三六年二月初め頃には足趾が欠除し、歩行不可能となり、かつ常時鼻血をにじま

せており、次いで同年二月末頃には左手上腕部を骨折し、左手全体が極度に腫張し、

日常の動作が不自由となつた事態にあつたことをそれぞれ知りながら同年三月一〇

日過ぎ頃まで医師の専門的施療等を受けさせることなく放置した事実関係の下にお

いてなされた被告人の行為は刑法二一八条後段にいう被保護者の生存に必要なる保

護をなさない罪に該当するものとした第一審判決の判断は、当裁判所もこれを正当

と認める。なお、当裁判所は、右判決判示第二の事実がAに対する被告人の懲戒権

の範囲内の行為と認めることはできない。

また、記録を調べてみても所論の点につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認

められない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により裁判官全員一

致の意見で主文のとおり決定する。

昭和三八年五月三〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

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