大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和37(あ)416 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人両名の弁護人守屋栄夫の上告趣意第一について。

論旨は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

(なお、原判決の確定している本件バスハツピと称する水薬は、薬事法二条一項二

号所定の「医薬品」に当たり、被告人等が疾病治療の目的でこれを患者の患部に塗

布し又は患者をして持ち帰つて塗布させるためにこれを交付した本件行為は、所論

届出にかかる医業類似行為の範囲内には属せず、昭和二二年一二月法律第二一七号

附則一九条二項により同条一項の届出医業類似行為者に準用されている同法律四条

所定の薬品の投与等の禁止規定に違反し、医師法一七条にいわゆる「医業」を組成

する医行為に当たるものであつて、被告人等が医師でないのに業としてなした本件

行為は、医師法一七条に違反するとした原判決の判断は、相当であり、原判決には

所論のような法令の解釈を誤つた違法は存しない。)

同第二について。

論旨は、要するに、本件バスハツピなる水薬は、被告人Aにおいて創業以来三〇

年の長きに亘り使用し、しかもそれは医師でさえも難かしいとしている神経痛、リ

ユーマチの治療に貢献こそすれ、曾つて一度も人の健康に危険実害を及ぼしたこと

がなく、人体に対し全く無害有効のものであり、従つて右水薬を患者に施用した被

告人等の本件行為は、何人も自由になし得るところの広義の医業即ち医業類似行為

に属するものであつて、医師法一七条にいわゆる狭義の医業又はそれを組成する医

行為には属しないものであるから、被告人等の本件行為を医師法一七条違反として

処罰した原判決は、憲法二二条、九八条に違反すると主張する。

しかし、本件バスハツピなる水薬は、これを気浴、温浴、湿布等に使用した場合、

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極めて稀ではあるが特定の体質の人に高度の皮膚炎、悪心、下痢、発熱等の重い副

作用を惹起することがあり、人体に無害であるとはいいきれず、正しい医学的注意

の下に患者に施用することを要するものであることは、原判決の確定するところで

ある。したがつて、本件水薬が人体に対し全く無害にして有効なものであることを

前提として違憲をいう所論は、その前提を欠き、上告適法の理由とならない。よつ

て、刑訴四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のと

おり決定する。

昭和三九年五月七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

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