大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和37(あ)986 判決

主 文

原判決を破棄する。

被告人を禁錮六月に処する。

第一審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

東京高等検察庁検察官渡部善信の上告趣意について。

原判決が、本件のようないわゆる「ひき逃げ」の場合には、道路交通法七二条一

項前段の救護等の義務違反の罪のみが成立し、同条項後段の報告義務違反の罪は、

成立しないとして、この点につき無罪の言渡をしたこと、従つて同判決が、いわゆ

る「ひき逃げ」の場合に右両義務違反の罪が成立するとした論旨引用の各高等裁判

所の判例と相反する判断をしたものであることは、所論のとおりである。

ところで、いわゆる「ひき逃げ」の場合には、右両義務違反の罪が成立し、両者

は併合罪の関係に立つものと解すべきことは、当裁判所大法廷判決(昭和三七年(

あ)第五〇二号、同三八年四月一七日言渡、刑集一七巻三号二二九頁)の示すとこ

ろであるから、これと同趣旨に出でた論旨引用の各高等裁判所の判例は正当として

支持されるべきで、論旨は理由があり、原判決は刑訴四〇五条三号、四一〇条一項

本文により破棄を免れない(なお、右大法廷判決は、原判決言渡当時においては、

まだなされていなかつたのであるから、本件の場合が刑訴四〇五条三号後段に当る

ことを妨げるものではない)。

よつて、同四一三条但書により被告事件につきさらに判決をすることとする。

原判決の確定した事実に法律を適用すると、被告人の判示所為中無免許運転の点

は、道路交通法六四条、一一八条一項一号、罰金等臨時措置法二条に、重過失致死

の点は、刑法二一一条後段、罰金等臨時措置法二条、三条に、救護等の義務違反の

点は、道路交通法七二条一項前段、一一七条、罰金等臨時措置法二条に、報告義務

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違反の点は、道路交通法七二条一項後段、一一九条一項一〇号、罰金等臨時措置法

二条に各該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、重過失致死

罪については所定刑中禁錮刑を、その余の罪については所定刑中いずれも懲役刑を

選択し、同法四七条本文、一〇条により最も重い重過失致死罪の刑に法定の加重を

した刑期範囲内で被告人を主文第二項の刑に処し、訴訟費用の負担につき、刑訴一

八一条一項本文を適用して主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。

検祭官 米田之雄公判出席

昭和三八年一二月二六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

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