大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和37(オ)361 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人黒木盈の上告理由第一点について。

原判決は、所論のように上告人の使用人Dが管理権のみを持つて処分権を持たな

いと判示したわけではなく、また管理行為には処分権を包含していると判示したわ

けでもないことは、判文上明らかである。それ故、右の判示のあることを前提とし

て原判決の違法をいう点は前提を欠く主張に帰し採用できない。そして、原判決は、

本件土地の使用をEらに許す程度の事務については、上告人から右Dが包括的な代

理権を与えられていたものと推認しているのであつて、右推認は、原判決の確定し

た事実関係の下においては是認することができる。右の点を非難する所論は、結局

原審の裁量に属する証拠の取捨、判断および事実の認定を非難するに帰し、その間

所論の違法は認められない。

同第二点について。

原審および第一審判決の確定した事実関係の下においては、本件農地は旧自作農

創設特別措置法二条一項の小作地に当るものとした原判示は正当と認められる。原

判決には所論の違法は存在しない。

同第三点について。

原審および第一審判決の認定したところによれば、上告人の息子が本件土地を一

時耕作をし、その耕作を中止した後、Fが従前と同じく耕作を続け、そしてFが耕

作を続けることにつき上告人はこれを知りながら黙認していたというのであつて、

かかる事実関係の下においては、右土地につき、前記一時の中断後も使用貸借関係

が存続していたものと解し得るのであつて、これと同趣旨の原判示は正当である。

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所論は採るを得ない。

同第四点、第五点について。

所論のように調査員に調査不十分の点があつたとしても、本件買収処分自体には

結局において違法の点の認められない以上、これを無効であるということはできな

い。論旨引用の判例は、調査不十分のため、何ら耕作の権原なくして耕作していた

農地を小作地と誤認した場合であつて、事案を異にし本件に適切でない。また所論

は、本件買収処分の無効を前提として違憲をいうが、その無効と解すべきでないこ

と前述のとおりであつて、違憲の主張は前提を欠くものである。それ故、所論は採

るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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