大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和38(あ)223 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人諫山博の上告趣意第一点について。

所論は憲法二八条違反をいうが、同法条は勤労者の団結権、団体交渉権その他の

団体行動権を保障しているが、この保障もかかる勤労者の権利の無制限な行使を許

容し、それが国民の平等権、自由権、財産権等の基本的人権に絶対的に優位するこ

とを是認するものでなく、従つて勤労者が労働争議において使用者側の自由意思を

剥奪し又は極度に抑圧するような行為をすることを許容するものではないことは当

裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一〇四九号同二五年一一月

一五日大法廷判決、集四巻一一号二二五七頁参照)。そして所論労働組合法一条二

項も、同条一項の目的達成のためにした正当な行為についてのみ、刑法三五条の適

用を認めたに過ぎず、勤労者の団体交渉においても刑法所定の暴行罪などにあたる

行為が行われた場合にまで、その適用があることを定めたものではないこともまた

当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五月一

八日大法廷判決、集三巻六号七七二頁参照)。しかして本件において、原審の認定

した事実関係の下における被告人らの行為を前段説示したところに照せば、被告人

らの右行為が憲法二八条の保障する勤労者の団体行動権の行使に該当するものでな

いことは明らかである。それ故論旨は理由がない。

同第二点について。

所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であり、刑訴四〇五条の上告理由に

当らない。

同第三点について。

所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であり、刑訴四〇五条の上告理由に

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当らない(原審認定の事実関係の下においては住居侵入罪に当るものとした原審の

判断は正当である)。

同第四点について。

所論中憲法三七条二項違反をいう点もあるが、実質は単なる訴訟法違反の主張で

あり、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(所論Aの供述調書を証拠としたことは、

刑訴三二一条一項三号に違反するものとは認められない)。

被告人B、同C、同Dの各上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、

被告人Eの上告趣意は、事実誤認の主張であり、いずれも刑訴四〇五条の上告理由

に当らない(被告人らの法令違反の主張の理由がないことは、弁護人諫山博の上告

趣意、とくに第一点について説示したとおりである)。

よつて、刑訴四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和三九年一〇月二九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

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