最高裁判所第一小法廷 昭和38(あ)2460 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中四〇日を本刑に算入する。
理 由
弁護人岡弁良の上告趣意第一点は憲法三一条違反をいうが、実質は単なる訴訟法
違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第二点は原審における訴訟手続には、被告人が弁護を受ける権利を剥奪または
制限した違法があるとして、憲法三七条三項違反を主張する。しかして記録による
と、原審は昭和三八年六月一九日被告人のための国選弁護人として大場民男を選任
し、同弁護人は同年七月十七日控訴趣意書を提出している。その後にいたつて、被
告人から意思の疏通を欠くとして弁護人改任の上申があつたので、原審は同月二五
日大場弁護人を解任し、即日小山齊造弁護士を国選弁護人に選任した。そして、同
年八月一五日の原審第一回公判期日には「小山弁護人は大場弁護人名義および被告
人名義の各控訴趣意書に基づいて控訴の趣意を陳述し」ている。かくのごとく、小
山弁護人は自ら控訴趣意書を提出していないが、控訴趣意書を提出するための最終
日の変更その他格別の措置を求めておらず、右第一回公判期日においてなんら異議
を留めずして弁論したことについては被告人においても異議のあつた形跡もない。
かかる事実関係の下においては、所論の被告人の憲法上の権利を侵したことになら
ないことは、当裁判所昭和三一年(あ)第三八四八号、同三二年六月一九日大法廷
判決の趣旨により明白である。それ故、所論違憲の主張は理由がない。
被告人の上告趣意は憲法違反をいう点もあるが、実質は事実誤認、単なる法令違
反の主張であつて、上告適法の理由にならない。
よつて刑訴四〇八条、一八一条一項但書、刑法二一条により、裁判官全員一致の
意見で、主文のとおり判決する。
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昭和三九年四月九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 朔 郎
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 松 田 二 郎
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