大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)104 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弘田達三の上告理由第一点について。

所論は上告人と被上告人との間の本件油類の取引はすべて約束手形に依るべきこ

とと定められていたとの事実を前提として原判決を非難するものであるが、右の事

実は原判決の何ら認定しないところであり、そして前記取引が昭和三三年一〇月七

日まで行われていた旨の原審の認定は、挙示の証拠によつて是認できないわけでは

ない。所論は原判決の認定に副わない事実を前提として原判決の違法をいうもので

あつて、ひつきよう原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰

し、採るを得ない。

同第二点について。

原判決は、上告人、被上告人間の本件取引が昭和三三年一〇月七日まで行われた

ことを認定しているが、右認定を判示する部分の前に、被上告人が上告人に対し油

類の売渡をした旨を判示しており、そして右取引が何日まで継続したかの争点につ

き前記の認定をした上、被上告人の、上告人を買主とする売買代金請求を認容する

旨判示しているのである。それ故、原判決は、上告人が昭和三三年一〇月七日まで

の本件取引につき買主としての責任のあることを判示したものであることは判文上

明らかである。所論は原判決を正解せずしてこれを非難するに帰し、採るを得ない。

同第三点について。

記録によると、上告人が、被上告人との本件取引を開始した日として裁判上自白

しているのは昭和三三年五月二四日であることが認められるから(記録一七一丁)、

原判決が所論の判示をしたことは当事者間に争のある事項につき、争のないものと

- 1 -

記載した違法のあることは所論のとおりである。しかし、本件取引は継続的取引関

係であり、被上告人の本訴請求は、その継続的取引関係の終期における残代金の支

払を請求するものであつて、取引の始期および終期の確定は、右継続的取引関係を

特定させるための方法と解せられる。そして原判決は、本件取引の結果金一、三八

六、六〇七円に相当する揮発油類代金が未払である旨を認定した上、上告人は被上

告人に対し右金員および判示の遅延損害金を払うべき旨を判示しているのであつて、

原審の右認定、判断は挙示の証拠により是認できる。しからば、原判決の前記違法

は、判決に影響を及ばすこと明らかな法令違反とは認められず、所論は採るを得な

い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!