最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)1266 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人の上告理由について。
記録によれば、昭和三八年七月二日午前一〇時の原審第一回口頭弁論期日に、被
控訴人(被上告人)代理人が、控訴人(上告人)は昭和三四年二月一二日福岡市a
町b口畔から東京都荒川区c町dのeD方に転入して以来、同年八月までの約六カ
月問に都内の簡易旅館等を数回転々したという事実を陳述し、これに対し控訴人が
右の事実を争わない旨述べたことは明らかである(一審記録三丁、二四丁、二審記
録一八丁)。原審は、右の事実ならびに控訴人がその主張の傷害事件について司法
警察員および検察官から取調べを受けた際、東京都荒川区c町f丁目g番地所在の
F宿泊所が住居である旨述べた事実および同宿泊所が簡易宿泊所である事実等に基
づいて、本件勾留請求当時、控訴人は刑訴法六〇条一項一号にいう「定まつた住居」
を有しなかつたと認めるべきである旨を判示しており、右原判示は、同条項の規定
に照し、正当である。また、原審の確定した事実関係の下においては、右勾留請求
当時、控訴人が外国人登録法に基づきその主張の住所を居住地として登録していた
からといつて、控訴人が一定の住居を有するものとはいえないとした原判示も、前
記刑訴法の規定に照し、正当と認められる。所論は、ひつきよう、原判決を正解せ
ず、独自の見解に立つて原判決を攻撃し、原審の裁量に属する証拠の取捨判断、事
実の認定を非難するに帰し、原判決には、その判断の過程において所論の違法は認
められない。なお、所論は違憲をいう点もあるが、実質は単なる法令違反の主張に
帰するところ、原判決には所論法令違反の認められないことは前述のとおりであり、
違憲の主張は前提を欠き、採用の限りでない。
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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 松 田 二 郎
裁判官 岩 田 誠
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