大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)413 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告人A1の代理人片岡政雄、同重松蕃の上告理由について。

所論は要するに、上告人が教育職員免許法三条によつて助教諭としての職を行な

い得ないこととなつても地方公務員たる地位は失わない旨を主張し、原判決は教育

職員たる身分と地方公務員たる身分とを混同しており、地方公務員法に根拠を欠く

にかかわらず地方公務員たる身分が失われたとした原判決の判示は、法令の解釈を

誤つたものであるというのである。しかし、教育公務員特例法三条は、公立学校の

教員は地方公務員としての身分を有する旨を規定しており、上告人は教員であつた

がために地方公務員であつたのであつて、教育職員たる身分を離れて地方公務員と

しての身分を有していたわけではない。それ故、上告人が教育職員としての身分を

喪失した以上、地方公務員としての身分もまた当然喪失するに至つたものと解する

のが正当であつて、これと同趣旨に出た原判決には所論の違法は認められない。

上告人A2の代理人片岡政雄、同重松蕃の上告理由第一点について。

所論は、被上告人福島県教育委員会が、共稼ぎの女教師であること等を理由とし

て上告人に対し退職を勧奨し、これに応じなかつた上告人に報復手段として転任を

命じたことは、性別により差別を与えたものであつて、これを是認した原判決は憲

法一四条および地方公務員法一三条に違反すると主張する。しかし、原審が所論の

退職勧奨および転任処分の経緯につき適法に認定した事実関係の下においては、原

判決は所論のような性別を理由として差別のなされた事実を判示しているものとは

認められず、この点に関する論旨は前提を欠くものである。また、右転任処分が報

復手段としてなされたものとは認められないとした原審の事実認定は、挙示の証拠

- 1 -

により是認できる。それ故、所論はすべて採るを得ない。

同第二点について。

所論は、田村町教育委員会の内申は県教育委員会から頼まれて記載した違法のも

のであるというのである。しかし、同町教育委員会が所論のような経緯によつて内

申書を提出したとしても、ひつきよう内申書提出についての動機に過ぎず、その意

思によらない内申書ということはできない。これと同趣旨に出た原判決の判示は正

当であり、所論は採るを得ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!