大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)740 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人倉重達郎の上告理由一について。

原判決は、本件土地および地上立木につき、その所有者であり売主である被上告

人と、買主である上告人A1木材株式会社との間の売買契約については、代金完済

まで所有権を売主に留保する旨の特約があつたこと、上告人A1木材株式会社と上

告人A2工業株式会社間に昭和三〇年二月一三日本件立木の売買契約がなされたこ

と、しかし、当時上告人A1木材は未だ代金を完済していなかつたこと、従つて被

上告人と上告人A1木材との間においては本件山林および立木の所有権は移転して

おらず、上告人A2においても本件立木の所有権を取得していなかつた旨を確定し

ており、また、上告人A2において所論本件立木の所有権の帰属を確認すべき義務

を怠り通常必要とすべき注意義務を欠いたとして、本件立木所有権侵害につき過失

の責を免れないとし、よつて上告人らは共同不法行為者として連帯して損害を賠償

すべき義務を負うと判断しているのである。そして右原審の判示は、挙示の証拠関

係に照らし是認できる。原判決が、上告人A2は、被上告人所有の立木を無権限で

伐採搬出し、右搬出分に相応する立木につき被上告人の所有権を失わせ、また上告

人A1木材は、自己に処分権がないのに右立木を上告人A2に転売し、よつて被上

告人の右立木所有権を喪失させ同人に損害を蒙むらせたと判断したことは首肯する

に足りる。所論明認方法がある以上、上告人A2として立木所有権の真の所有者を

確認する法律上の義務なしとの所論は、独自の見解であつて、採るを得ない。�

また、本件不法行為による損害額の算定については、原判決理由三(4)におい

て、本件立木の搬出当時の価額を挙示の鑑定結果に徴して明確にしたうえで損害賠

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償額を算定していることが判文上明らかであるから、何ら所論の違法はない。

所論中引用の最高裁判所の判例(民集一三巻一〇号一二二三頁)は、土地の所有

権を移転するにあたり、当事者間の合意によつて地上立木の所有権を留保したとき

は、該留保を公示するに足る方法を講じない以上、これをもつてその地盤である土

地の権利を取得した第三者に対抗しえない旨の判示であつて、本件と事案を異にし、

適切でない。

それ故、所論はいずれも理由なく、採るを得ない。

同二について。

論旨は原判決の採証法則違反をいうが、所論(1)(2)はいずれも原審の裁量

に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、所論(3)は上告人A2

の過失を原審が認定判示した点につき、原判示と異なる独自の見解を述べて原判決

を非難するに帰し、所論はいずれも採るを得ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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