大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和39(す)427 決定

右の者に対する威力業務妨害、恐喝、傷害、器物損壊被告事件(昭和三九年(あ)

第一六九一号)について、同人から昭和三九年一二月一一日付をもつて「上訴権回

復申立理由書」と題する書面が提出されたが、一件記録によれば、右事件は、被告

人の同年七月二〇日付上告申立により当審に係属したのち、同年一二月六日作成、

同日東京拘置所受理の上告取下書でなした上告の取下により終了したことが明らか

である。前記「上訴権回復申立理由書」と題する書面によれば申立人の右申立の理

由とするところは、「……正当な理由がないものと思慮し上訴取下げを御願い出た

者ですが、……矢張りこの事件の真相を訴える為には、いかなる理由があつても最

後迄裁判をして貰い、正当に審理を受けるべきが正しい行いと思いました。その為

にもこの事件は上訴権を抛棄するべきでないと思慮されます。」というのであり、

右は上告取下の撤回を求める趣旨に解されるところ、このような撤回の許されない

ことは明らかであり、また、かりにこれを上訴権回復を求める趣旨と解しても、本

件申立は上訴提起期間内に上訴をすることができなかつた場合につき規定した刑訴

法三六二条の請求に当らないから不適法であり、いずれにしても棄却すべきもので

あるから、裁判官全員一致の意見で、左のとおり決定する。

主 文

本件申立を棄却する。

昭和四〇年二月二二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!