大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)1176 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人月山桂の上告理由一について。

私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によつて顕出されたものであると

きは、反証のない限り、該印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推

定するのを相当とするから、民訴法三二六条により、該文書が真正に成立したもの

と推定すべきである(昭和三九年(オ)第七一号同三九年五月一二日第三小法廷判

決民集一八巻四号五九七頁参照)。しかるに、原判決は、本件につき、被上告人が

乙一ないし七号証の被上告人名下の印影が同人の印章によつて顕出された事実を認

めながら、なんらの反証を挙示せずして、印影の真正を否定し、ひいて同号証の真

正な成立を否定したことは、原判文上明らかである。

しからば、原判決は前叙説示に照らして明らかな如く、民訴法三二六条の解釈を

誤つたか又は審理不尽のそしりを免れず、その違法は判決に影響を及ぼすこと明ら

かであるから、論旨は理由があり破棄を免れない。よつて、その余の論旨を判断す

るまでもなく、右反証の有無について更に審理判断を遂げしむるため、本件を原審

に差し戻すべく、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり

判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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