最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)1397 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人羽生長七郎の上告理由第一点について。
原判決は、本件不動産の登記済証が被上告人の手中にあることだけで亡Dが本件
不動産の売買を上告人Aに委任した事実を認定しているのではなく、その挙示の証
拠を綜合して右事実を認定したものであつて、右認定は右証拠関係に照らし肯認す
ることができるから、右認定には何ら所論の違法は存じない。論旨は理由がない。
同第二点について。
上告人Aに本件不動産を売買するにつき亡Dを代理する権限を有していたとの原
判決の認定判断が首肯できることは、前に説示したとおりである。そして、上告人
Aが本件不動産の売却代金を亡Dに引き渡したか否かは、右認定判断に何ら影響の
ない事実であるから、原判決が右事実に付判示しなかつたからといつて、何ら所論
の違法があるとはいえない。論旨は理由がない。
同第三点および第四点について。
農地の売買は、知事の許可がない限り、所有権移転の効力を生じないけれども、
該契約は何ら効力を有しないものではなく、特段の事情のない限り、売主は知事に
対し所定の許可申請手続をなすべき義務を負い、また若しその許可があつたときは、
買主のため所有権移転登記手続をなすべき義務を負担するに至るものと解するのを
相当とする。そして、本件においては、右特段の事情は認められないとする原判決
の認定判断は、その挙示の証拠により肯認することができるし、原判決判示事情の
もとにおいては、被上告人は上告人らに対し、知事に対する許可申請手続をなすべ
きことを求めうると共に、右許可のあつたときは、右登記手続を請求する必要があ
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るから、右請求は、民訴法二二六条所定の将来の給付の訴として許されるものと解
すべきである(当裁判所昭和三八(オ)第一二七二号、同三九年九月八日第三小法
廷判決、民集一八卷七号一四〇六頁参照)。所論は、これと反する見解に立つて原
判決の判断を非難するに帰し採用できない。論旨は理由がない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岩 田 誠
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 松 田 二 郎
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