大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)1481 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人杉山朝之進の上告理由第一点について。

所論は、債権担保のため抵当権の設定と代物弁済予約の契約を締結した場合に、

債権の元金の一部に弁済があつたときは、代物弁済予約の契約は失効し、債権者は

抵当権の実行により債権の満足を計るほかないのに、代物弁済を有効と認めた原判

決には法令の解釈を誤つた違法があるというのである。�

しかし、原判決(引用の第一審判決を含む、以下同じ。)は、被上告人は訴外D

に対する貸金七〇〇万円およびこれに対する利息の債権を担保するため上告人との

間に原判示の代物弁済の予約をしたところ、その後右訴外人より元金の内入として

金五〇万円および約定利息の一部として金三〇万七四四〇円を弁済しただけで、な

お元本六五〇万円および昭和三六年一二月六日より同三七年一二月五日までの約定

利息金五六万二五六〇円の債権が残存する事実を適法に確定しているのである。以

上の場合においては、所論のように解すべき必要がなく、被上告人のした代物弁済

完結の意思表示を有効とした原判決の判断は正当であつて、何ら所論の違法はない。

論旨は理由がない。

同第二点について。

所論は、本件代物弁済予約契約については、所有権移転請求権保全の仮登記があ

るから、仮登記の本登記手続を求むべきなのに、直接所有権移転登記手続を求めた

被上告人本訴請求を許容した原判決は違法であるというのである。

しかし、所論仮登記がなされていても、代物弁済完結の意思を表示した被上告人

は、これにより本件土地の所有権を取得したものであるから、右仮登記の本登記手

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続を請求することなく、直ちに右代物弁済による所有権移転登記手続を請求し得る

こと論をまたないから、原判決には所論違法はなく、論旨は理由がない。

同第三点について。

所論は、被上告人が本件代物弁済完結の意思表示をなし、本件土地の所有権を取

得することは、権利の濫用であるのに、この点について判断を示さない原判決は理

由不備の違法があるというのであるが、所論指摘の事実を記載した上告人提出の昭

和三九年四月一五日付準備書面は、原審口頭弁論において陳述されていないことが

記録上明らかであるから、論旨は、原審で主張のない事実をもつて原判決を論難す

るものであつて、採るを得ない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、

裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 田 誠

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

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