大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)787 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人霜山精一、同中島登喜治、同吉岡秀四郎の上告理由第一、二点につい

て。

忌避申立についての裁判確定前に、忌避申立を受けた裁判官が関与してなした判

決は、民訴法四二条本文により違法であるが、その後右申立が理由なしとして排斥

され、その裁判が確定したときは、有効と解すべきことは当裁判所の判例(昭和二

七年(オ)第三九八号同二九年一〇月二六日第三小法廷判決、民集八巻一〇号一九

七九頁参照)とするところである。

本件記録によれば、原判決は、所論第一の忌避申立について昭和三九年二月一五

日東京高等裁判所が右申立を理由なしとして却下する旨の決定をなした後である同

年三月一六日に言渡されたものであり、該決定は高等裁判所の決定であるから即時

確定したものである(右決定に対し上告人らのなしたいわゆる特別抗告は同年五月

三〇日違憲の主張なしとの理由により却下された)。されば、右第一の忌避申立に

ついては、原判決の言渡にはなんら違法は存しない。そして、所論第二の忌避申立

は同年三月一三日になされ、未だその裁判がなされる前に、原判決は忌避申立を受

けた裁判官三名によつてなされたことは記録上明らかであるから、原判決はそのな

された当時においては、所論理由により違法であつたものといいうる。しかし、右

第二の忌避申立も同年一一月一七日東京高等裁判所において右申立を理由なしとし

て却下する旨の決定がなされたことは、記録上明らかであり、該決定は高等裁判所

のなした決定であるから即時確定したものである(右決定に対し上告人らのなした

いわゆる特別抗告は昭和四〇年一月二八日違憲の主張なしとの理由により却下され

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た)。しからば、これにより原判決の右違法の瑕疵は治癒され、有効となつたもの

と解すべきであつて、論旨は理由がない。

同第三、四点について。

訴外D商船株式会社と上告人Aとの間に本件土地につき上告人ら主張の賃貸借契

約または使用貸借契約が締結された事実を認めるに足る証拠はなく、所論乙第三号

証は判示事情のもとに作成交付されたものであるから、これをもつて右契約の成立

を推認する資料として採用し難く、甲第一九号証が偽造文書であるとの上告人らの

主張は判示証拠に照らして採用し難いとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠

関係に照らして肯認できる。商法四二条、四三条、民法一〇九条、一一〇条に関す

る上告人らの主張は、原審において上告人らの主張しない事項であり、原審の判断

を経ないものであつて、原判決には所論違法は存しない。論旨は、原審の認定しな

い事実に基づいて原判決を非難し、かつ原審の裁量に任された証拠の取捨判断、事

実認定を非難するものであつて、採用できない。

同第五点について。

当事者のなした文書提出命令の申請を採用するか否かは、事実審たる原審の裁量

に任されたところであつて、原審が上告人らの文書提出令名の申請を採用しなかつ

たからといつて、違法とはいえない。論旨は理由がない。

同第六点について。

同一事件において弁論手続と和解手続を併行して進めることは適法であつて、そ

の場合和解手続が終了しないまま弁論を終結して判決を言渡したからといつて違法

とはいえない。所論は、右と異なる独自の見解に基づいて原判決を非難するもので

あつて、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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