大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和40(あ)12 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

被告人Aの弁護人佐伯千仭、同前堀政幸の上告趣意は、判例違反をいう点もある

が、引用の判例は本件と事案を異にして適切でないから所論はその前提を欠き、そ

の余は事実誤認の主張であつて、いずれも適法な上告理由に当らない。

被告人Bの弁護人松村正康の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であ

つて、適法な上告理由に当らない。

しかし、職権により調査するに、記録ならびに原裁判所および第一審裁判所にお

いて取り調べた証拠のうち、昭和二五年度支出負担行為簿(大阪高等裁判所昭和三

〇年裁領第四六一号の二六)には、その表紙等に「大阪刑務所」なる記載は見当ら

ず、その他の証拠によるも、被告人らが虚偽の記入をしたとされた右文書が、公務

所の署名がある文書であると認めるに足りる資料は存しない。しかるに原判決は、

判示第一の(二)および(三)において、これを大阪刑務所の署名のある文書とし、

これに虚偽の記載をした被告人らの行為は、有印虚偽公文書作成罪を構成し、また

これを行使した行為は有印虚偽公文書行使罪を構成するとし、刑法一五六条、一五

五条一項および一五八条一項、一五六条、一五五条一項を適用しているのであつて、

これは事実を誤認したか、または法令の適用を誤つたものといわなければならない。

また、原判決は、被告人Bについて、同被告人の行為として認定していない同判

決判示第一(一)(1)の有印虚偽公文書行使罪の刑に、刑法四七条、一〇条等に

より併合罪の加重をして、同被告人を処断しているのであつて、これは理由にくい

ちがいがあるものといわざるを得ない。

そして右のような事実の誤認もしくは法令の違反は、原判決に影響があり、原判

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決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。

よつて、刑訴法四一一条一号、三号により原判決を破棄し、同法四一三条に則り、

本件を原裁判所に差し戻すべきものとし、裁判官全員一致の意見により、主文のと

おり判決する。

検察官 高橋正八公判出席

昭和四一年五月二六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

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