最高裁判所第一小法廷 昭和40(オ)1300 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人平泉小太郎の上告理由第二点について。
原審が認定したところによれば、上告人は、昭和二一年一月頃、その所有に係る
本件土地を、被上告人の父Dに売り渡す旨の契約を締結したが、当時本件土地は既
に開墾されて農地となつていたので、行政庁の許可を、その売買契約の効力発生の
条件としていたというのである。
右事実関係のもとでは、前記条件の成就もしくはこれと同一の効果を生ぜしめる
要件に該当する事実が認められない限り、本件土地の売買契約に基づく所有権移転
は、その効力を生じることなく、その所有権は依然として上告人に属するものとい
うべきである(本件売買契約締結当時、農地の移動は臨時農地等管理令によつて統
制されていたのであるが、同令七条ノニ所定の地方長官の許可は、農地の所有権移
転を目的とする契約の有効要件ではないと解すべきであるから、本件売買契約に付
された前記条件は、いわゆる法定条件ではなく、まさに停止条件であるというべき
である。)。しかるに、原判決は、かかる事実の有無を確かめることなく、上告人
の主張を排斥したのは、理由不備の違法があるものといわざるをえない。この点に
おいて論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。よつて、その余の上告理由に
対する判断を省略し、さらに審理をなさしめるため、本件を原審に差し戻すべきも
のとする。
よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す
る。
最高裁判所第一小法廷
- 1 -
裁判長裁判官 松 田 二 郎
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 岩 田 誠
- 2 -