大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和40(オ)31 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人窪田澈の上告理由について。

原判決およびその引用する第一審判決は、軽二輪自動車に乗つた上告人Aは、本

件の交差点に入つた直後ごく短い間右折の合図をしたが、その時には未だ被上告人

が本件現場に姿を見せていなかつたこと、上告人Aはさらにそのまま交差点内を進

入した上南方のa方面に向つて右折しようとして前方を見たところ、足踏二輪自転

車に乗つた被上告人が東方のbc丁目方面からすでに交差点内に進入し、上告人車

に対向してかなりの速度でd方面に向い進行して来るのを認めたこと、しかし上告

人Aは、至近距離まで被上告人車が接近して来ておつて、その速度および進行方向

から見て被上告人車の前方を横切り右折することが極めて無理であると客観的に認

められる状況にあつたのにもかかわらず、スピードを出せば被上告人車の前方を先

に右折進行できるものと簡単に即断し、これに合図および一時停止をすることなく、

そのままハンドルを右に切り、爆音を発して交差点の中央より東方bc丁目方面に

寄つた都電の軌道の外側辺を進行したこと、一方、被上告人は、上告人Aより右折

の合図がないのでそのまま直進するものと考えて自己も直進し、極めて接近した距

離に迫つたときに上告人Aにおいて突如右折したので待避の措置をとる余裕がなく、

上告人車の左後部バンバーの位置に被上告人車の前輪が激突するに至つた旨の事実

を認定しているのであつて、右認定事実は、挙示の証拠により肯認できる。

以上の事実関係の下においては、上告人車、被上告人車がそれぞれ直進する限り

においては両車が衝突する危険がない状況であるから、被上告人車の方で一旦停止

して上告人車を避譲する必要がなかつたものというべく、一方、道路交通取締法一

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八条ノ二により、交差点で右折しようとする上告人車の方で一時停止または徐行す

ることにより衝突を避ける義務があるものというべく、本件事故は専ら上告人Aの

過失によるものとした原審の判断は正当である。所論は、原判決の前記判断を正解

せず、原判決の確定した事実と異る事実関係を前提として原判決に違法の廉がある

と論難するものであるから、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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