大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和40(オ)667 判決

主 文

原判決中、被上告人両名の抹消登記手続請求部分を破棄し、右部分を大

阪高等裁判所に差し戻す。

その余の上告を棄却する。

前項の上告費用は、上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡崎赫生の上告理由について。

原判決(その引用、訂正にかかる第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠に

よれば、原判決の認定した事実を肯認しえないわけではなく、右認定した事実関係

のもとにおいては、昭和三元年一月二四日上告人および被上告人ら間において遺産

分割協議が成立せず、また、同三一年一月二四日の遺産分割協議についての被上告

人らの承認が、上告人の強迫に基づいてなされたものであるとの原判決の判断は是

認しえないものではない。原判決には所論のような違法があるとは断じがたく、所

論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、

採用しがたい。

進んで抹消登記手続の適否につき案ずるに、被上告人らの請求は被上告人らが上

告人と共同して亡Dの遺産を相続したのに、その遺産に属する原判決(第一審判決

添付)別紙第一目録記載の土地、建物について上告人のみの単独名義の所有権取得

登記がなされているから、被上告人らはそれに対する持分に基づいて、上告人にそ

の抹消登記手続を求めるというのである。しかし、かかる場合、不動産について持

分を有する者は、単独名義でなされた所有権取得登記全部の抹消登記手続を求め得

るものでなく、ただその有する持分の限度において、一部抹消(更正)登記手続を

求め得るに過ぎないのである(当裁判所昭和三五年(オ)第一一九七号、同三八年

二月二二日判決、民集一七巻一号二三五頁参照)。しかるに、本件について見るに、

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叙上の点に関し、被上告人らの請求は必ずしも明らかでない。右説示に照らすとき

は、もし被上告人らの請求があくまで本件登記の全部の抹消を求める趣旨であるな

らば、主張自体理由がないものとしてその請求は棄却を免れないが、これに反して

持分の限度において実体関係と符号せしめる登記関係を求める趣旨であるならば、

被上告人らの請求はその限度において正当というべきである。原審はすべからく、

この点を釈明すべきであつたのである。原判決はこの点で審理不尽を免れない。�

よって、原判決中、抹消登記手続請求部分を破棄して、この部分を原審に差し戻

し、その余の上告を失当として棄却することとし、民訴法四〇七条一項、三九六条、

三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

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