最高裁判所第一小法廷 昭和40(オ)914 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人金子新一の上告理由第一点について。
金額に争いのある債権につき、金額に対する弁済を供託原因として供託した金額
が債権者の主張する額に足りないのに、債権者がその供託金を受領した場合であつ
ても、債権者において、右供託金を受領するまで一貫して供託金額をこえる金額を
請求する訴訟を維持続行していたときには、請求金額中供託金額をこえる部分につ
いては、当然留保の意思表示がなされているものと解すべきである(最高裁判所昭
和四一年(オ)第一一八〇号、同四二年八月二四日第一小法廷判決参照)。原審は、
これと趣旨を同じくして、被上告人が、本訴続行中に上告人の供託金を受領したさ
い、これを一部弁済として受領する旨の留保の意思表示をしたものと認め、したが
つて本訴請求金額中供託金額をこえる部分については債権は消滅しないと解したも
のであるから、その判断は正当であつて、論旨は採用しえない。
同第二、第三点について。
原審の認定した事実関係に照らせば、本件契約の第八条に定める出入帳尻の締切
計算の趣旨が原判示のとおりのものであつたと解されないことはなく、しかして、
原審は、上告人が、昭和三一年三、四月分の利益金五〇万七七一五円を負担すべき
ことを従来異議なく承認し来たり、かつ、所論のその余の項目、金額については、
結局において、帳尻計算より除外し留保することなく被上告人の計算関係を承認し
たものと認められることにより、右契約の趣旨に従つて、以後上告人において、右
所論の各金額を争い、それが被上告人の負担すべきものであることを主張しえなく
なつたものであるという趣旨の判断を示しているのであつて、その判断に所論の違
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法を認めえない。したがつて論旨はいずれも採用しえない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 松 田 二 郎
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 岩 田 誠
裁判官 大 隅 健 一 郎
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