最高裁判所第一小法廷 昭和40(行ツ)110 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人和田久の上告理由一について。
論旨は、本件選挙の船上不在者投票において違法な管理を受けた投票数は三五票
に確定しうるのであるから、これを当選無効原因として争わしめ、公職選挙法二〇
九条の二(理由書に二〇九条とあるのは誤記と認められる。)を適用して処理すれ
ば足りると解すべきであり、右の違法を選挙の結果に異動を及ぼす虞れあるものと
判断した原判決は、同法二〇五条一項の解釈適用を誤つものというにある。
しかし、不在者投票の管理に関する違法は、公職選挙法二〇五条一項にいう選挙
の規定に違反するものにほかならず、それが選挙無効原因となりうることは、当裁
判所の判例とするところであり(昭和二九年九月一七日最高裁判所第二小法廷判決、
民集八巻九号一六四四頁、昭和三二年一二月一七日同第三小法廷判決、民集一一巻
一三号二二〇〇頁、昭和三三年二月六日同第一小法廷判決、民集一二巻二号一四〇
頁、昭和三七年一二月二六日同第二小法廷判決、民集一六巻一二号二五八一頁等参
照。)、本件についても、所論のようにこれと異なる処理を要する理由は認めがた
い。従つて、当選の効力に関する争訟の規定である公職選挙法二〇九条の二の規定
の適用の余地も存せず、論旨は理由がない。
同二について。
論旨は、本件船上不在者投票は投票用紙の上で他の投票と区別ができ、その不在
者投票をした選挙人ないし投票すべかりし選挙人を特定しうるのであるから、その
不在者投票に関する選挙手続のみを無効とし、それだけの範囲の再投票を行なえば、
選挙の結果の違法を是正しうるのにかかわらず、原判決が上告人らのこのような選
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挙の一部無効の予備的主張を採用しなかつたのは、理由の不備ないし齟齬というの
である。
しかし現行選挙法は、選挙の一部無効を複数の開票区ある選挙について開票区単
位に認めるにすぎず、所論のような選挙の一部無効ないし再投票手続について定め
るところはない。従つてこれを可能とする論旨は到底肯認しがたく、採用のかぎり
でない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 松 田 二 郎
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 岩 田 誠
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