最高裁判所第一小法廷 昭和41(あ)2215 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人小牧英夫、同深田和之、同阿形旨通の上告趣意第一点について。
仮に被告人らの本件所為が、勤労者の団結権、団体行動権の行使としてなされた
ものとしても、原判決の認定した事実によると、被告人らは、その勤務していたA
株式会社の親会社であるB株式会社の扇風機事業部総務課長Cが、室内から、被告
人ら組合員約八〇名が使用者側のDらを取り囲んで集団抗議をしている状況を写真
に撮影したのを発見し、約一八名の組合員らと意思を通じ、右室内になだれこみ、
右Cに対し、殺気だつた語調で、口ぐちに、「写真機を出せ」、「どこへ隠した」、
「なぐるぞ」、「出さなければからだの保障はせんぞ」などと怒号したり、そろば
んを振りあげてなぐりかかろうとしたりして同人を脅迫し、同人をして、行なう義
務のない前記集団抗議の状況を撮影したフイルム一巻を写真機から取り出して交付
させたというのであつて、被告人らの右所為は、憲法二八条の保障する勤労者の団
結権、団体行動権の限界をこえたものであり、労働組合法一条二項にいう正当な行
為といえないことは、当裁判所の判例(昭和二四年五月一八日大法廷判決―刑集三
巻六号七七二頁、同二五年一一月一五日大法廷判決―刑集四巻一一号二二五七頁、
昭和四一年一〇月二六日大法廷判決―裁判所時報四六〇号所載)の趣旨とするとこ
ろであるから、被告人らの右所為を正当な行為とはいえないとした原判決の判断は
正当であり、所論違憲の主張は理由がなく、その余の所論は、単なる法令違反、事
実誤認の主張であつて、上告適法の理由に当らない。同第二、三点は、単なる法令
違反、事実誤認の主張であつて、いずれも上告適法の理由に当らない。よつて、刑
訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
昭和四二年三月二日
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最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岩 田 誠
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 松 田 二 郎
裁判官 大 隅 健 一 郎
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