大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和41(あ)2515 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人半田和朗の上告趣意について。

所論は、金銭は、代替可能のものであり、その交換価値だけが問題となるのであ

るから、賄賂として収受した金銭は、これが既に費消された場合においても、刑法

一九七条ノ五にいう「没収スルコト能ハサルトキ」には当らないのに、収受した賄

賂と同額の金銭を贈賄者に返還した被告人に対し、賄賂と同額の金員の追徴を是認

した原判決は、刑法一九七条ノ五の解釈適用を誤り、ひいては、被告人に対し二重

の財産上の不利益を強いるもので憲法二九条に違反するというのである。

しかし、「物そのもの」を対象とする没収の本質にかんがみれば、賄賂として収

受された金銭そのものが、費消されれば勿論その金銭が他の金銭と混同し、その特

定性を失えば、これを「没収スルコト能ハサル」場合に該当するものといわなけれ

ばならない(昭和二二年(れ)第三二三号同二三年六月二三日大法廷判決、刑集二

巻七号七七七頁参照)。そして被告人は、賄賂として収受した金銭を自己の用途に

費消してしまつたというのであるから、右賄賂たる金銭はすでに没収することがで

きない場合に当るのであつて、被告人がその後収受した金銭と同額の金員を贈賄者

に返還したとしてもなお被告人に対しその収受した利益を追徴すべきものとした原

判決の判断は正当であり原判決には刑法一九七条ノ五の解釈適用を誤つた違法はな

い。所論違憲の主張は右と異なる法令解釈を前提とするもので適法な上告理由に当

らない。

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、

主文のとおり決定する。

昭和四二年三月三〇日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 田 誠

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 大 隅 健 一 郎

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