大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和42(オ)1024 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人古川公威の上告理由第三点について。

土地の工作物の占有者が当該工作物の設置または保存にかしがあることによつて

他人に損害を加えた場合には、被害者が右占有者に対しその損害の賠償を求めうる

ことは、民法七一七条の規定するところであるが、いまだ損害が発生しないのにか

かわらず、将来損害を生ずるおそれがあることを理由として、その予防のため右工

作物の修復を求め、さらにその修復を終えるまでその使用の差止を求めることは、

同条の規定に基づいてなしえないものと解すべきである。したがつて、これと同趣

旨の原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しえない。

同第七点について。

記録によれば、上告人は、原審において、民法七一七条のみに基づき被上告人ら

に対してその占有にかかる本件溜池につき修復工事の施行および右工事完了までの

使用禁止を求めているのであつて、占有訴権その他に基づいて本件請求をするもの

でないことはきわめて明白である以上、原審が上告人に対し所論の点について釈明

権を行使しなかつたとしても、何等の違法はなく、論旨は採用しえない。

同第一、二点、第四ないし第六点について。

所論はいずれも民法七一七条に規定する要件事実の認定に関する原判決の証拠の

取捨判断、事実の認定判断を非難するに帰するところ、右第三点について判示した

とおり、同条に基づく本件請求が認められない以上、所論の点に関する論旨はいず

れも採用しえないことは明らかである。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

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とおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

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