大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和43(あ)2326 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中五〇日を、原判決の本刑に算入

する。」との部分を破棄する。

原審における未決勾留日数中九日を本刑に算入する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意は、判例違反をいうが、原判決は所論引用の判例と相反する法

律判断を示したものとは認められないから、所論は前提を欠き、適法な上告理由に

あたらない。

所論にかんがみ、職権で調査すると、記録上、つぎの事実を認めることができる。

すなわち、被告人は、本件起訴前である昭和四三年五月一四日、本件窃盗の事実(

第一審判決判示第一の事実)により勾留状の執行を受けて以来、一、二審を通じ勾

留を継続されていたものであること、被告人は、本件につき、昭和四三年六月二〇

日、宇都宮簡易裁判所で、懲役一年四月に処する旨の判決を受け、同月二四日、こ

れに対して控訴を申し立て、同年九月一七日、原裁判所で、「本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数中五〇日を、原判決の本刑に算入する。」との判決を受

けたこと、これよりさき、被告人は、昭和四一年四月二八日、横浜地方裁判所で、

別件の住居侵入、窃盗被告事件により、懲役一年(五年間執行猶予、保護観察付)

の判決を受け、右判決は同年五月一三日確定したが、翌昭和四二年一月二〇日にい

たり、右執行猶予の取消決定を受け、この決定は同月二六日確定し、その刑の執行

が同年七月一〇日開始されたところ、昭和四三年四月九日、被告人は仮出獄(執行

済刑期八月三〇日、執行終了予定日同年七月九日)により宇都宮刑務所を出所した

こと、その後、本件被告事件について勾留中の同年七月二日、右仮出獄の取消決定

があり、翌三日、右決定は効力を発生し、即日残刑の執行(終了予定日同年一〇月

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三日)が開始され、原判決当時、被告人はなおその受刑中であつたこと、したがつ

て、右残刑執行開始の日である昭和四三年七月三日以後は、原審における未決勾留

と、右刑の執行とが競合していたこと、以上である。

このように懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を、刑法二一条により本刑に算

入することは違法であると解すべきである(昭和二九年(あ)第三八九号、同三二

年一二月二五日当裁判所大法廷判決、刑集一一巻一四号三三七七頁)から、原審に

おける未決勾留日数のうち、同法同条により本刑に算入できる限度は、被告人の控

訴申立の日である昭和四三年六月二四日から、前記残刑執行開始の日の前日である

同年七月二日までの九日である。そこで、原判決中、右限度を超えて未決勾留日数

を本刑に算入する旨の部分は、刑法二一条の適用を誤つた違法があり、刑訴法四一

一条一号により破棄を免れない。

よつて同法四一三条但書により、原判決中「当審における未決勾留日数中五〇日

を、原判決の本刑に算入する。」との部分を破棄し、刑法二一条により、原審にお

ける未決勾留日数中九日を本刑算入し、原判決のその余の部分に対する上告は、上

告趣意として何らの主張がなく、したがつてその理由がないことに帰するから、刑

訴法四一四条、三九六条により棄却し、当審における訴訟費用は、同法一八一条一

項但書により、被告人に負担させないこととして、裁判官全員一致の意見で、主文

のとおり判決する。

検察官 平出禾公判出席

昭和四四年四月三日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

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