大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和43(オ)829 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人中村三之助の上告理由について。

原審の確定するところによれば、本件家屋は大正一〇年前後に貸家として建築さ

れた四戸建長屋二棟で、構造および使用材料も中級以下の借家向普請であるため、

木造居宅としての耐用命数はすでに尽きており、不測の天災地変等の場合には倒壊

の危険が予想され、居住者が各自姑息な補修を加える程度では早晩朽廃を免れない

状態にあるのみならず、防災等公益的見地からもこのままに放置しておくことはで

きない状況にあるというのであり、加えて、被上告人は、本件家屋の敷地に隣接し

た場所に古くから染色工場を設けて友禅加工業を営んでおり、事業の発展に伴ない

工場設備の拡張、施設の改善等のため、右敷地を使用する必要があり、昭和二四年

これを買い受けて以来、上告人らに対し右事情を話して再三明渡しの申入れをして

きたもので、上告人らにおいても、その間誠意さえあれば適当な移転先を見付ける

ことが不可能であつたとはいえないというのである。そして、右の事実は、原判決

挙示の証拠に照らして肯認することができる。

これらの事実関係によつてみれば、本件解約については、特に移転料等金員の提

供を申し出た事実がなくても、遅くとも原審口頭弁論終結前六カ月の時点において、

解約申入れについて正当事由が具備したものということができるのであつて、上告

人らは被上告人に対して、本件各家屋を明け渡す義務があるものといわなければな

らない。しからば、原審が被上告人の本訴請求を認容するに当たり、金員の支払を

条件とした点はともかくとして(この点について不利益を受くべき被上告人からは

不服の申立はない。)、上告人らに対し本件各家屋の明渡しを命じた原審の判断は

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相当である。所論は、違憲をいう点もあるが、その実質は、単に原審の専権に属す

る事実の認定を非難するか、右と異なる独自の見解にたつて原判決の法令違反をい

うにすぎず、いずれも採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 岸 盛 一

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