大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和44(あ)2749 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人上山武の上告趣意のうち判例違反をいう点は、所論引用の判例は、本件と

事案を異にして適切ではなく、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつ

て、適法な上告理由にあたらない。(原審の判示した関税法一一三条の二の虚偽申

告罪および同法一一一条一項の無許可輸出罪に関する事実は、被告人は、真実は標

準外決済方法による輸出であるのに、他から、その外貨買取済証明書により外国為

替公認銀行の認証を受けた他人名義の輸出申告書等を買い受け、標準決済方法によ

る輸出であるなどと装つて、税関長に対し、右認証書とともに輸出申告をしてその

許可を受けたうえ、貨物を輸出した、というものである。しかしこのような事実関

係のもとにおいては、本件輸出許可が、重大かつ明白な瑕疵ある行政行為であるか

ら無効のものであるとは解されず、したがつてその輸出は、税関長の有効な許可の

もとになされたものというべきであるから、虚偽申告罪の成立が認められるとして

も無許可輸出罪は成立しないものといわなければならない。してみると無許可輸出

罪の成立を認めた原判決は、この点において誤りがある。しかし本件無許可輸出罪

は外国為替及び外国貿易管理法七〇条二一号、四八条一項、輸出貿易管理令一条の

無承認輸出の罪と観念的競合の関係にあるものとして処断されたものであり、その

法定刑をみると、最も重い刑である懲役刑は、いずれも三年以下で同じであるから、

前者の罪の成立が認められないとしても、その処断刑が異ならないことなどを勘案

すれば、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものということはできない。)

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、

主文のとおり決定する。

昭和四五年一二月二四日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

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