大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和46(あ)2010 判決

主 文

原判決が、被告人に対し、原審における未決勾留日数中一五〇日を本刑

に算入した部分を破棄する。

原審における未決勾留日数中一〇〇日を本刑に算入する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について。

所論は判例違反をいうので、検討するに、本件記録によれば、被告人は、本件詐

欺事実の一部を被疑事実として、起訴前である昭和四五年六月五日勾留状の執行を

受け、その後第一、二審を通じ引き続き勾留を継続されているものであるが、同年

一一月二一日第一審判決の宣告を受け、これに対し同月二六日控訴を申し立てたと

ころ、原裁判所は、昭和四六年九月一四日右控訴を棄却するとともに、原審におけ

る未決勾留日数中一五〇日を本刑に算入する旨の判決を言い渡したことが認められ

る。また、被告人は、昭和四五年八月二四日東京簡易裁判所日比谷分室において別

に犯した道路交通法違反の罪により罰金合計五万円(罰金一〇〇〇円ずつの裁判が

五〇件)に処せられ、同裁判は同年九月九日確定し、同年一〇月一五日東京簡易裁

判所において別に犯した業務上過失傷害ならびに道路交通法違反の罪により罰金四

万円に処せられ、同裁判は同年一〇月一二〇日確定し、以上の各罰金刑の換刑処分

としての労役場留置の執行が、本件の未決勾留中である昭和四五年一一月二五日か

ら継続して合計一八〇日間行なわれたことも、本件の記録上明らかなところである。

ところで、右のように未決勾留と罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行とが競

合している場合、その重複する部分の未決勾留日数を本刑に算入することが違法で

あることは、論旨引用の当裁判所大法廷昭和三二年一二月二五日判決・刑集一一巻

一四号三三七七頁の趣旨から明らかなところである(なお、当裁判所第二小法廷昭

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和四二年五月二六日判決・刑事裁判集一六三号四三五頁参照)から、原審における

未決勾留日数のうち被告人の本刑に算入することの許される日数は、前記労役場留

置の執行が終了した日の翌日である昭和四六年五月二四日から原判決言渡の日の前

日である同年九月一三日までの一一三日である。しかるに、原判決は、これを超え

て原審における未決勾留日数中一五〇日を本刑に算入する旨言い渡したものである

から、前記判例に違反したものであり、上告論旨は理由があるといわなければなら

ない。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決

のうち被告人に対し原審における未決勾留日数中一五〇日を本刑に算入した部分を

破棄し、刑法二一条を適用して原審における未決勾留日数中一〇〇日を本刑に算入

することにする。原判決のその余の部分については、上告趣意としてなんら主張が

なく、従つてその理由がないことに帰するから、刑訴法四一四条、三九六条により

これを棄却する。当審における訴訟費用については、同法一八一条一項但書により

被告人に負担せしめない。以上のとおりであるから、裁判官全員一致の意見で、主

文のように判決する。

検察官大石宏 公判出席

昭和四七年四月一三日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 岸 盛 一

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