大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和46(さ)2 判決

主 文

徳島簡易裁判所が、被告人に対し、昭和四五年九月一八日にした略式命

令を破棄する。

被告人を免訴する。

理 由

本件記録によると、徳島簡易裁判所は、昭和四五年九月九日付の略式命令請求に

より、同月一八日に、「被告人は、自動車運転の業務に従事する者であるが、昭和

四五年四月一六日午前八時四〇分ごろ、普通貨物自動車を運転し、徳島市a町b字

cd先道路を時速約二〇キロメートルで南進中、同方向に先行するA運転の軽四輪

自動車に追従するにあたり、同車が急に停止したときでもこれに追突を避けること

ができるため必要な車間距離を保持すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠

り、同車と僅か二メートルに接近して漫然同速度で追従した過失により、同所先に

おいて交通渋滞のため一時停止していた同車に自車の前部を追突させ、よつて同車

に同乗してB(当六九年)に加療約一週間を要する右側頭部打撲症を負わせたもの

である。」との犯罪事実を認定し、刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法二条、三

条、刑法一八条を適用して、「被告人を罰金八、〇〇〇円(換刑処分五〇〇円を一

日)に処する。」旨の本件略式命令を発し、右略式命令は、昭和四五年九月二一日

被告人に送達され、法定期間の経過により同年一〇月六日確定した。しかるに同簡

易裁判所は、これより先同年五月二七日付の略式命令請求に基づき同年六月五日被

告人に対し右と同一の事実につき、同一の法条により、同一内容の略式命令を発し、

右略式命令は、法定期間の経過により同月二三日確定したものであることが明らか

である。

そうすると、徳島簡易裁判所は、既に同一公訴事実について確定の略式命令があ

つたのであるから、後の起訴すなわち昭和四五年九月九日になされた略式命令の請

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求にかかる公訴事実については、刑訴法三三七条一号により、判決で免訴の言渡を

すべきものであつた。しかるに、これを看過して重ねて同年九月一八日同一事実に

つき発した本件略式命令はその審判が法令に違反するものであるから右略式命令の

破棄を求める本件非常上告は理由がある。そして右略式命令は、被告人に不利益な

ものであることは明らかであるから同法四五八条一号により右略式命令を破棄し、

被告事件につき同法三三七条により被告人を免訴すべきものとし裁判官全員一致の

意見で、主文のとおり判決する。

検察官横井大三 公判出席

昭和四六年四月八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 下 田 武 三

裁判官長部謹吾は退官につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 岩 田 誠

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