大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和48(あ)1872 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人佐藤義行、同尾崎正吾の上告趣意第一点について。

憲法三八条一項はいわゆる供述拒否権につきその告知を義務づけるものではなく、

したがつて、国税犯則取締法に右の告知の規定を欠き、また、収税官吏において犯

則嫌疑者に対し質問するにあたり右の告知をしなかつたからといつて、同法一条の

規定またはこれに基づく質問手続が憲法三八条一項に違反することとなるものでな

いことは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一〇一号同二三年七月一四日大法

廷判決・刑集二巻八号八四六頁、昭和二三年(れ)第一〇一〇号同二四年二月九日

大法廷判決・刑集三巻二号一四六頁)の趣旨とするところであり(昭和三七年(あ)

第一四九五号同三九年八月二〇日第一小法廷判決・裁判集刑事一五二号四九九頁参

照)、憲法違反をいう所論はすでにこの点において理由がないことが明らかである。

判例違反をいう点は、所論引用の判例はいわゆる供述拒否権の告知義務に関して

なんら判示するところがなく、本件に不適切であるから、所論は適法な上告理由に

あたらない。

同第二点について。

所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらな

い。

よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す

る。

昭和四八年一二月二〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

- 1 -

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 岸 盛 一

裁判官 岸 上 康 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!