大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和51(ク)77 決定

主 文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理 由

抗告代理人岩永勝二の抗告理由について

最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において特に最高裁判所に

抗告を申し立てることを許した場合に限られ、民事事件については、民訴法四一九

条ノ二に定められている抗告のみが右の場合にあたる。ところで、本件抗告理由一

の(一)は、利害関係人に対する競売期日の通知はこれを発することで足りるとして

いる競売法二七条二項の規定は、右通知は発せられたが現実に到達しなかつた利害

関係人に、競売期日における手続に参加する機会を与えない不利益を課することと

なり、憲法三二条に違反すると主張するのであるが、憲法三二条所定の裁判を受け

る権利とは、性質上固有の司法作用の対象となるべき事項(いわゆる純然たる訴訟

事件)につき裁判所の判断を求めることができる権利をいうものであることは、当

裁判所の判例の趣旨とするところであり(最高裁昭和二六年(ク)第一〇九号同三

五年七月六日大法廷決定・民集一四巻九号一六五七頁、同三七年(ク)第二四三号

同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一一一四頁参照)、所論の利害関

係人が競売手続に参加する機会を失う不利益とはなんらの関係を有するものではな

い。したがつて、所論違憲の主張はその前提を欠くに帰する。また、その余の抗告

理由は、違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎ

ない。それゆえ、本件抗告は民訴法四一九条ノ二所定の場合にあたらないと認めら

れるから、これを不適法として却下し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、

主文のとおり決定する。

昭和五一年一一月二五日

- 1 -

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

裁判官 岸 盛 一

裁判官 岸 上 康 夫

裁判官 団 藤 重 光

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!