最高裁判所第一小法廷 昭和56(さ)2 判決
主 文
原略式命令を破棄する。
被告人を罰金一〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算し
た期間、被告人を労役場に留置する。
理 由
本件記録によると、中村簡易裁判所は、昭和五四年一〇月三一日被告人に対する
傷害被告事件について「被告人は、昭和五四年一〇月一六日午前〇時三〇分ころ、
中村市ab番地cマンシヨンd号室の自室及びその付近道路において、A(当時三
一歳)に対し、その身体をところかまわず手挙で殴つたり、裸足で蹴つたりして暴
行を加え、よつて同人に、加療約二週間を要する頭部顔面多発挫創、背部打撲擦過
傷等の傷害を負わせたものである。」との事実を認定したうえ、刑法二〇四条、罰
金等臨時措置法三条、刑法一八条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を罰金二
〇万円に処する。この罰金を納めることができないときは金二〇〇〇円を一日に換
算(端数金額があるときは、これを一日に換算)した期間被告人を労役場に留置す
る。上記罰金を仮に納付することを命ずる。」旨の略式命令を発付し、この略式命
令は、昭和五四年一一月一五日確定したことが認められる。
しかしながら、刑法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号によれば、傷害罪
の罰金の法定刑の最高額は一〇万円であるから、これを超過して被告人を罰金二〇
万円に処した右略式命令は、法令に違反していることが明らかであるうえ、被告人
のために不利益であるといわなければならない。
よつて、刑訴法四五八条一号但書により、原略式命令を破棄し、被告事件につい
てさらに判決することとする。
原略式命令の確定した傷害の事実に法令を適用すると、被告人の所為は、刑法二
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〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、
その金額の範囲内で被告人を罰金一〇万円に処し、右罰金を完納することができな
いときは、刑法一八条により、金二〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役
場に留置することとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
検察官木村榮作 公判出席
昭和五六年四月三〇日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 中 村 治 朗
裁判官 団 藤 重 光
裁判官 藤 崎 萬 里
裁判官 本 山 亨
裁判官 谷 口 正 孝
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